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島根県津和野の鮎料理(撮影:小浦場 祥夫)

(撮影:小浦場 祥夫)

 今、世界の料理人たちが最も注目しているのは日本料理だ、といいます。「21世紀は日本料理の時代だ」と言い切るシェフも少なくありません。
 世界の料理シーンの最先端を走ってきた「エル・ブジ」のフェラン・アドリアの料理が、日本料理そのものだけでなく日本の食文化の根本、もてなしの哲学までも理解して取り入れたものであることはいうまでもないでしょう。
 そして、日本の料理の素晴らしさに触れるたびに、それはもっともなことだとうなずいてしまいます。ここまで自然に寄り添った、自然と共存して生まれた料理は世界でも類をみないでしょう。
 夏が来る。鮎が採れる。それを炭火で焼いて頭からワタまで全部おいしく食べる・・・。これ以上シンプルな発想はなく、これ以上贅沢な料理もありません。
 どんなにアイデアを凝らした新しい料理の皿が美しくても、この1匹の鮎の姿にはかないません。そこには、自然を愛し、自然と闘うのではなく受け入れるところから始まる日本人の姿勢がはっきりと現れています。
 この自然を失うようなことを許していいのでしょうか? 鮎が汚染されて、もう美しい炭火焼にできなくなってしまってもいいのでしょうか?
 世界は今、日本に注目しています。私たちが、どうやって日本の自然を守って行くのか、子供たちの未来を築いていくのか。そして日本の素晴らしい食を世界中に発信し続けていくことが出来るのか。その問いに答えるにはまず、この美しい国に生まれた幸運を改めて感謝し、その美しさを守るために何をしたらいいのか、一人一人が考えていく必要があるのではないでしょうか。
※写真「島根県津和野の鮎料理(撮影:小浦場 祥夫)」

渡辺 万里

2012.07.12

スペイン料理ひとりごと・その9
Entre cazuelas y morteros
「人は交わる友により…」

18. de junio. 2012

料理エッセイ
 「人は交わる友により、良きに悪しきに変わるなり・・・」
 これは、私が高校で教えられた、すごく古風な歌(明治天皇の御后作)の1節です。私ならこれをちょっと変えて「人は食べるものにより…」と言いたいところです。
 フランスの食評論家として名高いブリヤン・サバランにもこんな言葉があります。「あなたが何を食べているか言ってごらん、あなたが何者かあててみせよう」。
 何を食べているか? これはとても基本的で重要な命題です。スペインのように、地方ごとに大きく異なる文化圏を構成している国では、食べ物も地方によって大きく異なります。大げさではなく、「何を食べているか」が、どこの地方のどんな文化圏の人であるかを表していると言っても言い過ぎではないのです。
 ちょっと「私は誰?」クイズをしてみましょう。

マラガ風フライの盛り合わせ

マラガ風フライの盛り合わせ

 「私は週に3回はお米料理を食べます。」
 これは、ほぼ間違いなくバレンシア地方の人でしょう。アラブ民族によって米の栽培が定着したバレンシアはスペイン一番の米どころとして知られ、米料理の多くはこの地方生まれのもの。反対に、米はめったに食べないという地方も珍しくありません。
 「港で水揚げした魚は、すばやく揚げておいしく食べます。」
 これは南部アンダルシア地方の可能性が高いですね。アフリカ大陸に近く夏には40度までも気温が上がるアンダルシアの沿岸では、とれたての魚はすぐ茹でるかすぐ揚げるのが一番賢い料理法です。そしてオリーブ油の最大の産地であり、オリーブ油をふんだんに使うアラブ民族の嗜好を色濃く受け継いだ地方でもあります。
 「放牧している羊のチーズと豆が、もっとも日常的なタンパク源です」
 これは、中央部ラ・マンチャ地方。広大なメセタ(台地)には羊が放牧されていて、その羊の乳から作るケソ・マンチェゴはスペインの代表的なチーズです。かつて魚といえば干したタラくらいしか入手できなかったこの地方には、チーズ以外では豆や雑穀などが主な食材という質素な食事が今も受け継がれているのです。
 「オリーブ油は作っていないので買ってこなければなりませんが、だからこそ上手に使います。土鍋を使う美味しい料理がたくさんあります。」
 これは北部バスク地方。オリーブ栽培の北限に位置しているため南部のように豊富なオリーブ油があるわけではないのに、だからこそ素晴らしい料理の数々を生み出した、美食で名高い地方です。
 さて皆さんは、今日何を食べているでしょう。日本料理? フレンチ? イタリアン?中華? それともファーストフード? デパ地下?・・・・。これでは、新しい食文化圏の、新しい食分布地図を書かなくてはいけませんね。

渡辺 万里

2012.06.18

第117回 スペインワインを楽しむ会

カバで夏祭り!
la Fiesta de verano con Cava


 今年も,夏がきました。皆様と一緒に、カバとタパスのさわやかなひとときを過ごしたいと思います。
 日本も世界も大変なことの多い、そしてまだまだ問題の多い年ですけれど、スペインの大地の恵みと日本の大地の恵みを楽しむことで、今年の後半も元気で乗り切りたいですね。
 とっておきのレセルバのカバ、そしてカタルニアの最新のタパスもそろえて、お待ちしています。どうぞ皆様お誘いあわせのうえ、おいでください。
 皆様との乾杯を楽しみに、お待ちしています。

渡辺 万里


・日時:2012年 7月 1日(日曜) 午後 1:30~3:30
・場所:スペイン料理文化アカデミー
・会費:10,000円(カバ、食事、資料を含む)
・定員:15名
・ワイン:指定産地カバのワインを色々にとりそろえて。


定員につき、締め切らせていただきました。
またの機会にぜひご参加ください。

2012.06.04

世界料理学会・報告その4

世界料理学会in Hakodate
世界的に、レストランのあり方は変わりつつある。様々な災害や経済不況を経て、人々の目の向く方向そのものが変わってきている・・・。そんなことも、今回の函館の学会は感じさせてくれました。
それは、この2012年、「エル・ブジ」という大きすぎるほどに大きい指標が存在しなくなったという事実を受けて、「これからのレストランに求められるのは何か」というテーマが久しぶりに浮上してきた結果なのだと言い換えてもいいでしょう。創造性、独自性といった今までのキーワードに代わって「心地よさ」「自然であること」「素材への回帰」といった言葉やテーマがそこここで目につきました。
そんな流れをはっきりと、そして簡潔に示したくれたのがフランス人シェフ、アレクサンドル・ブルダスでした。彼は40分近い持ち時間をすべて使って、自分のレストランのポリシー、彼の料理哲学だけを語ってくれたのです。
「料理とは料理人の自己表現である。しかし、レストランというのは、シェフが自己満足のために料理を創作するための場所ではない。料理そのものが目的ではなく、レストランを訪れた人たち一人一人のために幸せな楽しい時間を作り出すことが、料理人の使命なのだから。」
大きな著名シェフのレストランで過酷なスケジュールをこなしていた仕事から、フランスのオンフルールという土地に自分のレストランをオープンし、「自分が楽しく仕事をするために、レストランは週4日しか営業しない。残りの3日間は自分のための時間」と、日本の多くのシェフが聞いたらため息をつきそうな理想の仕事の形を実現したアレクサンドルは、そうすることで「人々を幸せにするために料理を作る」という姿勢を貫くことを可能にしたのではないでしょうか。
「食卓は、喜びの場所でなくてはならない」という彼の言葉は、単にレストランの経営哲学としてではなく、料理という行為自体、食というシーンそのものが人間にとって本来喜びであるはずだという、彼の信念を私たちに伝えてくれた気がしました。そしてその言葉は、前日の懇親会で、山形の奥田シェフがぽつんと語った言葉を思い出させました。
「被災地に支援に行く、などという大層なことではありません。行って、そこの人たちと一緒に料理しているだけです。料理をする、まな板の上で材料を刻む。そういう動作が、家族や家を失って日常生活を失った人に、何か人間らしい感覚を取り戻させてくれるのです。」
料理すること。食べること。そこには本来喜びがなくてはいけない。この思いこそ、料理に携わる人間がもう一度思い出す必要のある原点ではないだろうか、と日本人シェフもフランス人シェフも、形は違っても同じことを教えてくれたのです。
(Gracias a Sa. Qua. Na. アレクサンドル・ブルダス、http://www.alexandre-bourdas.com/

渡辺 万里

2012.05.26

第116回 スペインワインを楽しむ会

梶村シェフのフランス料理とスペインワインの遭遇!
el Encuentro de la cocina francesa y vino español

スペインワインを楽しむ会
「このお料理に、私の選んだスペインワインを合わせてみたい!」
目白のフレンチレストラン「ラ・ムジカ」のオーナーシェフ梶村さんとの出会いが、今回のワイン会の企画となりました。
 正統派フレンチの説得力と若々しいエネルギーが一体となって、独自の料理世界を築きつつある梶村シェフの料理に、1本ごとにストーリイを付け加えるようなスペインワインをあわせてみたいと思います。料理とワインが語り合う食卓をお楽しみください。
 また、去年の大震災以来、福島への支援活動を継続している梶村シェフに敬意を表して、会費のうち一人2,000円は「はっぴーらんち・ぷろじぇくと」への支援金とさせていただきます。
 スペインとフランスからの風が、目白から南相馬へと吹いていくことを祈りつつ。梶村シェフと皆様との乾杯を楽しみに、お待ちしています。

渡辺 万里

お料理とワイン(産地名):
  アミューズ + Cava(シャンパーニュタイプのスパークリング)
  オードブル + Rueda(スペインを代表する白ワイン)
  魚料理   + Valencia(地中海岸のフレッシュな赤ワイン)
  肉料理   + La Rioja(伝統の赤ワイン産地の長期熟成ワイン)
  デザート  + Navarra(マスカットのまろやかなデザートワイン)

・日時:2012年 5月27日(日曜) 午後 2:00~4:00
・場所:ブラッスリー・ラ・ムジカ
    東京都豊島区目白3-14-21.1F tel:03-3565-3337
・会費:10,000円(内2,000円寄付)
・定員:20名

※準備の都合上、予約のキャンセルは前々日までとなります。
 前日と当日のキャンセルは会費を頂戴します。


定員につき、締め切らせていただきました。
またの機会にぜひご参加ください。

2012.05.25
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