スペイン映画大好き!
世界が愛した料理人

世界が愛した料理人
世界が愛した料理人

© Copyright Festimania Pictures Nasa Producciones, All Rights Reserved.

推薦文

美食という罠

 究極の美食とは何なのか? 今、料理人が追求すべきテーマとは何なのか?レストランが表現できることとは何なのか?・・・・・
 日に日に多様化する食のテーゼに踊らされがちな今、美食について語る資格のある人がいるとしたら、それは世界有数の美食の地、スペイン・バスク地方の料理人だろう。
 エネコ・アチャはその一人であり、とりわけ注目されている料理人の一人だ。この映画は、まず彼にスポットライトをあて、彼から螺旋を描きながら日本へ近づき、「美食の真髄」というテーマに近づいていく。

 どうして、エネコなのか? 彼以前にも彼以後にも、バスクには優れた料理人が大勢現れてきた。しかしそのなかで、単なる料理人には止まらないほど聡明な彼だからこそ、まな板の上だけでなく言葉でも食を語ることができる。そして、この映画の原題である「ソウル(魂)」というキーワードが、彼を日本へ、「数寄屋橋次郎」へと導いていく。

 この映画の監督はスペイン人だから、ここでは、スペインやフランスのシェフが『手前』に位置し、「次郎」や「龍吟」が『向こう側』に位置する。そのため我々日本人は、鏡で裏文字をみるような不思議な感覚にとらわれる。しかし、西洋と東洋の料理人たちによって語られていく、様々なアプローチでの食のテーゼは、いつのまにか、我々の視点をエネコのそれに近づけていく。

 記憶にある味が美味なのか?いままで存在していなかったものが美味なのか?そのもの固有の香りがするから美味なのか、そこにあるはずのない香りがするから美味なのか?・・・・
 果てしない迷宮への罠としか思えない、新たな美食への試みが世界中で繰り広げられている。そのなかで、美食の王道を知るバスクのシェフ、エネコは、何を求めるのか?その問いから、この映画は始まり、同じ問いに帰結して終わる。

「サンパウ」のシェフ、カルメは、映画のなかでこう語る。
「ジローは、同じことを限りなく繰り返す。毎日、何千回も。自分の道を、自分の美学を信じて。私たちには真似できないことだからこそ、すごいと思う」
 西洋では、美食の探求とは繰り返しではない。否定と肯定を繰り返しながら変貌していくことだ。しかし、日本では美食の大きな部分は繰り返しによって成り立っている。だからこそ、行き着く先は違う。エネコもカルメも、いやフェラン・アドリアも、その根本的な違いを認識しながらもなお、日本の食の美学を深く敬愛し、そこから学ぼうとしてきた。そのことの素晴らしさを、この映画は再認識させてくれる。
 西洋のガストロノミーシーンを牽引してきたシェフたちが、日本の食の美学のなかに迷宮の出口を見つけてきたのだとしたら、それは素晴らしいことだ。そして我々日本人は、自分たちの国の食に秘められているその素晴らしい価値を、再認識すべきだろう。

渡辺 万里

解説

Story

スペインとフランスにまたがるバスク地方。そこはミシュラン星付きレストランも多く、世界的に美食の街として知られる。バスク州ビルバオ近郊の名店「アスルメンディ」をプロデュースする料理人エネコ・アチャ。スペイン史上最年少でミシュラン三ツ星を獲得した彼の華麗でサステナブル(持続可能)な料理には世界中から多くの顧客が集まる。昨年は六本木に「エネコ東京」もオープンさせた。農園とレストランが隣接する独特の環境の中で、料理を極めることに命を懸ける彼は、最高の料理に必要なもの、料理に込めるべき魂とは何かを求めるため、東京・銀座にある「すきやばし次郎」の主人、小野二郎に会いに行く旅に出た…。サンパウ、ジョエル・ロブションなど世界的な名店の創作の秘密も紐解きながら、エネコが目指す究極の料理の姿が次第に明らかになる。(出典:世界が愛した料理人[公式WEBサイト]

公式サイト:http://sekai-ryori.com/
公式サイト「予告編」:http://sekai-ryori.com/restaurants/#
タイトル:世界が愛した料理人
公開表記:9月22日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
配給:アンプラグド
コピーライト:© Copyright Festimania Pictures Nasa Producciones, All Rights Reserved.
監督:アンヘル・パラ、ホセ・アントニオ・ブランコ
出演:エネコ・アチャ「アスルメンディ」、マルティン・ベラサテギ「ラサルテ」、カルメ・ルスカイェーダ「サンパウ」、ジョエル・ロブション「ジョエル・ロブション」、石田廣義・石田登美子「壬生」、山本征治「龍吟」、小野二郎・小野禎一「すきやばし次郎」、服部幸應、マッキー牧元、マイケル・エリス「ミシュランガイド」
2016年/75分/原題:SOUL/スペイン/5.1ch/ビスタ/カラー

世界が愛した料理人 flyer© Copyright Festimania Pictures Nasa Producciones, All Rights Reserved.
2018.08.30

スペイン映画大好き!
パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト

パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト

c Ziggurat Films


***** 解 説 *****

フラメンコの地・アンダルシアから世界へ。あくなき挑戦の先に見つけたものとはー?
 フラメンコに革命を起こし、その超絶的な速弾きと類まれなるテクニックで、ジャンルを超えて世界中の音楽ファンを魅了し続けた偉大なるギタリスト、パコ・デ・ルシア。本作では、7歳でギターを手にしてから最後のアルバムとなった“Canción Andaluza”まで、60年間の軌跡を辿る。わずか12歳でプロのフラメンコ・ギタリストとしてデビューしたパコ。その才能はフラメンコにとどまらず、ジャズ/フュージョンへと活躍の場を広げ、1979年、アル・ディ・メオラ(※)、ジョン・マクラフリンとの3人でアコースティック・ギターのみで敢行したツアーから、続く81年に発表したアルバムによって、スーパー・ギター・トリオの愛称で親しまれ、世界中で人気を博すまでとなる。世界を舞台に挑戦し続けたパコの”音楽探求”の旅は、フラメンコを伝統芸術から世界的芸術へと変貌させていくー
映画「パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト」公式サイトより転載)

【劇中の主な楽曲】
二筋の川(Entre dos Aguas) / コモ・エル・アグア(Como el Agua) / ソロ・キエロ・カミナール(Solo Quiero Caminar) / きつね火の踊り『恋は魔術師』より(Canción del Fuego Fátuo) / ブアナ・ブアナ・キン・コン(Buana Buana King Kong) ほか

パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト

c Ziggurat Films


***** 推薦文 *****

 20世紀スペインが生んだ、不世出の天才。50年に一人現れるかどうかもわからない、フラメンコの偉大なアーティスト。世界中の人に、フラメンコという「音楽」のジャンルが存在することを知らしめた人・・・。
 これほどまでに多くの人に惜しまれたアーティストの死も、近年珍しいだろう。まだまだフラメンコの世界のトップを独走すると思われていた人の早すぎる死に、世界中から弔意が寄せられた。そしてこの映画は、パコの息子によって作られた彼へのオマージュとして、貴重な一篇となった。
 この映画には、死によって忘れられることなく、むしろ時がたつにつれてますます価値が増して行く彼の音楽の偉大さが沢山の断片となってちりばめられているが、それだけではない。あまりにも突出しているがために孤高の存在でもあった彼の日常の一瞬や、ふとつぶやいたような言葉の哀しさから、我々は、同じ時代をあまりにも速く生きて、生き抜いてしまった天才の面影を垣間みる事が出来る。
 スペインといわず、フラメンコと言わず、音楽を愛する人ならきっと何かを感じるに違いない映画として、ぜひお勧めしたい。

渡辺 万里

パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト
c Ziggurat Films

「パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト」
7月23日(土)、Bunkamuraル・シネマ他、全国ロードショー

監督:クーロ・サンチェス / 出演:パコ・デ・ルシア、チック・コリア、カルロス・サンタナ、ジョン・マクラフリン / 英題:PACO DE LUCIA A JOURNEY / 原題:Paco de Lucia: la busqueda / 2014年 / スペイン映画 / 90分 / ビスタ / カラー&モノクロ / DCP / 5.1chサラウンド / 日本語字幕:原田りえ / 日本公開:2016年7月23日 / 配給:RESPECT(レスぺ)/ 宣伝協力:Lem / 後援:スペイン大使館 / セルバンテス文化センター東京/ 一般社団法人 日本フラメンコ協会/ 公益財団法人 日本スペイン協会 / © Ziggurat Films

●公式サイト:http://respect-film.co.jp/pacodelucia/
●Facebook:https://www.facebook.com/pacodelucia.movie/
●twitter:https://twitter.com/paco_movie
●予告編(YouTube):https://youtu.be/H-0eLXg-l84

2016.05.31

スペイン映画大好き!
Magical Girl(マジカル・ガール)

マジカル・ガール

Una producción de Aquí y Allí Films, España. Todos los derechos reservados©


***** ストーリー *****

 白血病で余命わずかな12歳の少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。彼女の願いはコスチュームを着て踊ること。 娘の最後の願いをかなえるため、父ルイスは失業中にもかかわらず、高額なコスチュームを手に入れることを決意する。 どうしても金策がうまくいかないルイスは、ついに高級宝飾店に強盗に入ろうとする。まさに大きな石で窓を割ろうとした瞬間、 空から降ってきた嘔吐物が彼の肩にかかるー。心に闇を抱える美しき人妻バルバラは、逃げようとするルイスを呼び止め、自宅へと招き入れる。 そして…。バルバラとの“過去”をもつ元教師ダミアンは、バルバラと再会することを恐れている。 アリシア、ルイス、バルバラ、ダミアン―決して出会うはずのなかった彼らの運命は、交錯し予想もしない悲劇的な結末へと加速していく……。(公式サイトより転載)


***** 推薦文 *****

 よく「スペインといえば情熱の国」という表現を聞くが、元々、情熱つまりパシオンという言葉は暗くて重い言葉である。そんな暗さ、そしてスペイン映画お得意の不条理の世界を満喫させてくれるのが、このベルムト監督の話題作だろう。

 すべてがあり得ないおとぎ話ではなく、現代スペインに存在してもおかしくないむしろ日常的なシチュエーションからスタートしているにもかかわらず、あり得ないような展開が待っているのが、この映画の衝撃的なところ。

 翻訳のプロの友人が「ガルシア・ロルカの悲劇を思わせる結末」と表現してくれたラストは衝撃的だが、スペインが持つ謎めいた部分や日常の底を流れる悲劇性に興味のある方にはぜひ鑑賞をお勧めしたい、近年のスペイン映画界のヒット作である。

渡辺 万里

マジカル・ガール マジカル・ガール マジカル・ガール
Una producción de Aquí y Allí Films, España. Todos los derechos reservados©

★公開表記:ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国順次公開中

●監督:カルロス・ベルムト/●キャスト:バルバラ・レニー、ルシア・ポシャン、ホセ・サクリスタン、ルイス・ベルメホ/●製作:2014年,スペイン/●日本公開:2016年3月12日/●上映時間:127分/●原題:『Magical Girl』/●配給:ビターズ・エンド

●公式サイト:http://www.bitters.co.jp/magicalgirl/
●Facebook:https://www.facebook.com/magicalgirl.movie/
●twitter:https://twitter.com/MagicalGirl2016
●予告編(YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=5UnuXLvSQYc

2016.04.08

「スペイン文化読本」発売開始となりました!

スペイン文化読本/川成 洋 編/渡辺は「食文化」と「ワイン」の章を担当

出版社名:丸善出版/税込価格:2,160円


様々なジャンルにわたって、今スペインについて一番知りたい事を網羅した本です。
何かきっかけがあってスペインに興味を持ってくださった方に、ぜひ読んでいただきたいと思います。
渡辺は「食文化」と「ワイン」の章を担当しています。


<ご購入案内>
amazon
MARUZEN & JUNKUDO
honto
e-hon
BOOK WALKER

2016.01.29

acueducto のご紹介

acueducto
大阪のスペイン語学校が2か月に1回発行している雑誌、「Acueducto」。
スペインに興味のある方には、色々参考になる記事が満載されていますが、そのなかにグルメ関連の連載をしています。最新号は、「ボデガ訪問」の記事の最終回でした。
ネット上でも読めますし、依頼すれば送料負担で送ってもらえますので、ぜひご覧くださいね。
http://acueducto.jp/gastronomia/

2015.09.23
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