¡Hola!

Ensaladilla rusa(ロシア風サラダ)。スペインでは、ポテトサラダのことをこう呼びます。ずっと前から、「ポテトサラダがどうしてロシア風なのか?」と不思議に思っていましたが、スペインでは誰に聞いても「さあねえ。ロシアから来たんじゃないの?」という程度で、答えはなし。

ところが今回、料理クラスで教えるのをきっかけにもう一度調べてみたら、かなり信憑性のある説が見つかりました。19世紀のロシアはモスクアのオリヴェルというシェフが作ったのが始まりだ、というのです。だから別名「エンサラダ・デ・オリヴェル」とも呼ばれるのだそうです。

でも可笑しいのは、そのあとです。こういうポテトサラダのことをロシアでは「アメリカ風サラダ」と呼んでいる、というのです。

そういえば、私が子供のころ「スパニッシュ・オムレツ」というのは、トマトやグリーンピースなど色とりどりの野菜がはいったオムレツのことでした。最初にジャガイモだけの真ん丸なオムレツを食べたときは、これが本物だったのかとびっくりしたものです。

ensaladilla rusaアメリカ人がスペイン風だと思っているオムレツ。スペイン人がロシア風だと信じてきたサラダ。日本人がバレンシア風だと思っているパエーリャ。どれも、本国の人が見たら「え、どこが?」と驚くことになるのかもしれません。それもまた、楽しいですね。
ちなみに、アカデミーで教えているのはきちんとスペイン風の(笑)ロシア風サラダ、です。

2011.11.15

¡Hola!

 季節が急速に深い秋へと移行し、日によっては秋を飛び越して冬が来てしまったような日差しや風が感じられます。
 信州でもすっかり季節が移り変わって、農協の直売所の棚にも夏の野菜の華やかな彩りがみられなくなってきました。もうあの巨大なズッキーニがない。いつ見てもたくさん買いたくなるようなふっくらしたモロッコいんげんもない。様々なタイプと大きさが競い合っていたトマトの棚もさびしい・・・。でもそこで気付くのです。これが当たり前なのだ、これが自然なのだと。
 季節とともにステージを去る野菜があって、季節とともにライトを浴び始める野菜がある。太くてダイナミックなネギや、葉っぱまでみずみずしい大根。そして「霜下野菜」とネーミングされたキャベツなどが、今の季節の主役です。
 一日のうちに急激な気温の変化があって、夜には霜が降りるほど寒くなる。その気候が、今の季節のキャベツをより甘く、よりおいしくしているというのです。「やわらか種類」と説明を書かれた下で、キャベツは本当に力強く生き生きとしています。
 季節に適応し季節を逆手にとって、よりおいしくなる野菜たちのように、私たちも時代に適応し困難を逆手にとって、より豊かな人生を送ることができるようでありたいですね。

渡辺万里

2011.10.28

¡Hola!

 信州から届いた箱いっぱいの野菜を眺めていたら、いろいろお料理したくなってきました。

秋の野菜の米料理

秋の野菜の米料理

 葉つきの大根。バターナッツかぼちゃ。それにムカゴを今日の出演者として選んでステージへ。ステージはカスエラ・デ・バロ、素焼きの土鍋です。味をだしてくれるプロデューサーには手製の塩豚。レギュラーの共演者は米。舞台装置はもちろん、たっぷりのオリーブ油。演出家の私が腕をふるって・・・季節の米料理の出来上がり!
 ムカゴだけはスペイン語に訳できませんが、スペイン人が食べて「秋の味だね」と言ってくれたらいいな、と思いながら作りました。それとも気の早いスペイン人だと、もう「冬の味」と言われるかもしれませんね。スペインの1年は、長い夏と長い冬だけみたいなものですから。

渡辺万里

2011.10.10

¡Hola!

 昨日は、アカデミーのワイン会でした。「スペインワインを楽しむ会」は、今回で112回。皆勤でいらしている方は、延べ1000種類ほどのスペインワインを試飲したことになります。そしてそれでも、まだまだご紹介したいワインがあることに、自分でも驚きます。
スペインワイン 元々はブドウという農業に根ざした文化であるからこそ、立体的で複雑なワイン造りの面白さ。スペインの風土とスペイン人気質が生み出してきたワインの変遷をみていくと、スペインの歴史そのものにもつながっていく面白さ…。ただ、「このワインが流行だ、最新だ」というだけでなく、そういう背景まで知って楽しんでいただけたら、と願っています。
 さらには、あまり明確にならない未来を背負ってしまった日本で、これからもおいしいワインとおいしい料理を楽しんでいけることを心から願って。今日もスペインワインで乾杯!

渡辺万里

2011.09.26

¡Hola!

 朝夕から少しずつ、秋の気配が忍び寄ってきます。この週末は、方々の街角で秋祭りの神楽や神輿を目にしました。自然に翻弄され、自然に驚かされるこの半年でしたが、それでも日本人の自然との向き合い方にはまだ、慈しみ敬う気持ちが残っている気がして、なんだかほっとします。

ナスのムルシア風

ナスのムルシア風

 スペインでは、夏が終わるとあわただしく収穫の秋、つまり労働の秋がきて、そのあとには待ち遠しいクリスマスがやってきます。「1年の半分は、夏のバカンスについてしゃべっている。あとの半分はクリスマスについてしゃべっている」とまで言われるスペインの人たち。それがスペイン人流の「面倒な季節をやり過ごす方法」なのでしょう。
 日本の私たちはクリスマスを待たなくても、秋祭りを楽しみ、ナシやブドウが店頭に並ぶのを喜び、そして今この時を生きていることを感謝しながら、良い季節を過ごしたいものですね。

渡辺万里

2011.09.13
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