2011年10月…スペイン料理「体験クラス」のご案内

スペイン料理基礎「体験クラス]  6,000円(1回)

「スペイン料理に興味はあるけれど、入会する前に一度試してみたい…」という方のために、気軽に参加できる体験クラスのシステムが始まりました。
入会金なしで、スペイン料理・基礎のクラスに1回だけ参加できます。また、参加後に引き続きクラスの受講を続けたい方には、入会金特別割引きもご用意しています。
この機会にぜひ、おいしくて健康的、身近な材料で簡単に作れるスペインの家庭料理に挑戦してみませんか?

日程:
【水曜日・朝11時~午後1時】  10月 5日
【土曜日・午後2時~午後4時】  10月 1日
【日曜日・朝11時~午後1時】  10月 2日

メニュー:
・10月:[カンタブリアの歴史と料理]魚介類のスープ、サラダ、いかの墨煮、デザート。

※講習と試食で約2時間かかります。
※費用:6,000円(試食、ワイン、テキストを含む)


定員につき、締め切らせていただきました。また次回に、ぜひご参加ください。

2011.09.19

¡Hola!

 朝夕から少しずつ、秋の気配が忍び寄ってきます。この週末は、方々の街角で秋祭りの神楽や神輿を目にしました。自然に翻弄され、自然に驚かされるこの半年でしたが、それでも日本人の自然との向き合い方にはまだ、慈しみ敬う気持ちが残っている気がして、なんだかほっとします。

ナスのムルシア風

ナスのムルシア風

 スペインでは、夏が終わるとあわただしく収穫の秋、つまり労働の秋がきて、そのあとには待ち遠しいクリスマスがやってきます。「1年の半分は、夏のバカンスについてしゃべっている。あとの半分はクリスマスについてしゃべっている」とまで言われるスペインの人たち。それがスペイン人流の「面倒な季節をやり過ごす方法」なのでしょう。
 日本の私たちはクリスマスを待たなくても、秋祭りを楽しみ、ナシやブドウが店頭に並ぶのを喜び、そして今この時を生きていることを感謝しながら、良い季節を過ごしたいものですね。

渡辺万里

2011.09.13

スペイン料理ひとりごと・その2
Entre cazuelas y morteros
カメのタロー

8 de septiebmre.2011

料理エッセイ
 うちには、8歳になるミドリガメのタローがいます。タローは主人が祭りの屋台で掬ってきたのですが、最初は弱くて、「カメの餌」というドライフードをまったく食べませんでした。
 困ってインターネットで調べてみると、カメは幼いときは肉食を好む、とあります。そこで豚肉の赤身を小さくちぎって入れると、喜んで食べます。
 しかしほっとしたのもつかの間。数週間経つと、タローの目がぷっくりと腫れ上がってきて、ほとんど開かないほどになってしまいました。あわてて獣医さんへ。(ちなみに、爬虫類専門のとても良い獣医さん、これもネットでみつけました)。
 獣医さんはタローの目を見て言いました「これはビタミン不足だね。このままだと可哀そうだけど、いずれは死んじゃいます。でもあなたはやる気がありそうだから、こうしてみれば?」
 獣医さんが教えてくれたのは、ドライフードをすり餌状態にして好物に混ぜていく、という方法でした。その日から、スペイン料理ならぬカメの餌のために、私のモルテーロ(すり鉢)が台所に置かれました。まずドライフードを数粒、モルテーロでつぶす。そこに豚肉を加えて擦り混ぜ、直径3ミリくらいのお団子にまるめる。これを水槽のタローに与えるのです。
ミドリガメのタロー まもなくタローはこのお団子を食べるようになり、やがて必死で探して食べるほど好きになってくれました。そしてある日。これも獣医さんの指示通り、お団子と一緒にいれておいたドライフードそのものもぱくっと口にいれ、吐き出さずに食べたのです!
 その日を境にタローは次第にドライフードが食べられるようになり、すくすくと大きくなり始めました。18グラムだったタローは今、約2キログラム。もうデジタルの秤になんかおとなしく乗ってくれません。
 きらいな食べ物も、愛情があれば、ほんの少しの努力があれば、食べてもらえるようになる。カメの食事でさえ、料理は愛情なのだ・・・。そう感じさせてくれたタローは、今日もドライフードに好物の小松菜を添えた食事を、うれしそうにぱくぱくと食べています。

渡辺 万里

2011.09.10

フラメンコ・ミニエッセイ その4

フラメンコ・ミニエッセイ その4


“アルグノス・モメントス”

 人々は彼らを「アルヘシーラスの少年たち」と呼んだ。兄が歌い、弟がギターを弾いて、少しづつ名前を知られ始めていた。
  ある日彼らは、初めてのテレビ出演のために父親に伴われて、マドリードへとやってきた。しかし当時の法律では未成年に現金で報酬を支払うことは禁じられていたので、テレビ局は、ギターを素晴らしく弾きこなした少年に玩具の汽車を贈った。
 そのあと彼は、ギタリストのホセ・マリア・パルド、つまり僕の父の家に立ち寄った。そして僕の母は、家族のために用意していたつつましい一皿の夕食を、僕たちと同じように貧しい3人の客のためにとりわけた。
 帰っていくときギターを弾く少年は僕に、テレビ局でもらった汽車を、彼がギターを弾いて稼いだ初めての報酬を僕にプレゼントしてくれた。少年の名はフランシスコと言った。現在の、パコ・デ・ルシアである。
 僕の父がパコたち兄弟の長兄であるラモンのギターの師でもあり仕事の同僚でもあった時代を過ぎたあとも、僕はパコとその兄弟たちとのつきあいを続けてきた。仕事の外では、彼はどちらかといえばシンプルな人間だといっていいだろう。サッカーの大ファンで、寿司が大好きで、皆と笑って過ごす時間を過ごすのも好きだ。故郷アルヘシーラスの男たちがそうであるように、彼もまた頑丈な一人の男だ。
 しかしひとたびギターを持つと、彼はこの時代の傑出した天才である。パコのような存在は今までもごくわずかしか現れなかったし、また現れるまでには長い年月が必要だろう。もし少しでもフラメンコを理解する人なら誰も、パコが特別なアーティストだということは否定できない。彼のテクニックも、彼の創造性も、彼の前衛性も。パコをすごく好きだという人もあれば、それほどでない人もいるだろう。しかし彼の価値を否定することは不可能なのだ。ちょうど、ピカソの絵を嫌いだという人はいても、ピカソを否定する人はいないように。
 パコがくれた汽車は、もうはるか昔になくしてしまった。でも、彼のギターを聞くたびに、パコは今も僕に沢山の贈り物をしてくれている―――感動や、情熱や、そしてフラメンコへの夢という贈り物を。

カルロス・パルド
(対訳:渡辺 万里)
2011.09.04

スペイン料理ひとりごと・その1
Entre cazuelas y morteros
「これがピスト?」

1 de septiebmre.2011

料理エッセイ
 アカデミーで料理クラスのメニューを考えるときの私のポリシー。それは、「できるだけスペインの味に近いものを食べてもらうこと」です。
 味を知らなくては、その料理は作れない。もとの味を知らなければアレンジもできない。だから、『その料理の味を知ること』が常に料理のスタートだと思います。
 そうはいっても、素材も全部同じというわけにはいかない。水だって気候だって、すべてが味を左右していきます。だから私の基準は、スペイン人が食べて「うん、これは○○だ」とわかる料理であるように、ということ。これがピスト?セロリの煮ものみたいだけど?」「これはパエリャというより釜めしだなあ」とがっかりされないこと。それが、私が料理するときの目標です。

豚足のレリダ風

豚足のレリダ風

 そして一番うれしいのは、スペインの私の家族や友人に褒められること。「うちの嫁のロンバルダ(紫キャベツ)は最高だよ!」「このポタヘ、どうしてこんな味になるのか教えて!」「あんたのアロスコンレッチェも、やっとおいしくなったね!」・・・。
 そんなスペインの親しい人たちの顔を思い浮かべながら、料理をします。今までの長い年月のあいだに、私にさまざまな形で料理を、食を、スペインを教えてくれた彼らに、喜んでもらうこと。それが私の料理の原点、そしてスペインとの関わり合いの原点だと時々自分に言い聞かせながら、料理をしています。

渡辺 万里

2011.09.03
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