¡Hola!

¡Hola!
2012年のクリスマス、皆さんはどんな日をお過ごしでしょうか。
スペイン・マドリードでは、不景気が叫ばれるなかでいささか複雑なクリスマスを迎えました。連日、地下鉄や公共機関のストが続き、クリスマスのためのボーナスが支給されなかった影響で、通りには人があふれてはいるもののクリスマスプレゼントの売れ行きは良くない。それでも、友達が集まってひと時を過ごすバルは活気にあふれているし、家族のためにクリスマスのごちそうを買う人々で市場はにぎわっています。
来る2013年はどんな年になるのか。失業者は減らないのか。医療保険や様々な改悪は止まるところがないのか・・・。様々な不安を抱えながら、それでも大切な人たちと集い祝うクリスマスは、この国にいくらかの安らぎをもたらしてくれたような気がします。
世界の子供たちが、より明るい未来を持つことができますように。離ればなれの家族が、皆一緒になれますように。世界中から戦火が途絶える日が来ますように。クリスマスの日には、そんな遠大な祈りをしてもいいのではないでしょうか。
どうぞ、楽しいクリスマスと新年をお過ごしください。

渡辺 万里

2012.12.26

2013年 1月スペイン料理「体験クラス」のご案内・・・

スペイン料理基礎「体験クラス」  6,000円(1回)

「スペイン料理に興味はあるけれど、入会する前に一度試してみたい…」という方のために、気軽に参加できる体験クラスのシステムが始まりました。
入会金なしで、スペイン料理・基礎のクラスに1回だけ参加できます。また、参加後に引き続きクラスの受講を続けたい方には、入会金特別割引きもご用意しています。
この機会にぜひ、おいしくて健康的、身近な材料で簡単に作れるスペインの家庭料理に挑戦してみませんか?

カスティーリャ料理+豆の話
日程:(各定員8名様)
・2013年 1月12日【土曜日・午後2時~】
・2013年 1月13日【日曜日・朝11時~】
・2013年 1月16日【水曜日・朝11時~】
メニュー
・2013年 1月:
[カスティーリャ料理+豆の話]
 マドリード風コシード、サラダ、デザート。

※講習と試食で約2時間かかります。
※費用:6,000円(試食、ワイン、テキストを含む)
※「体験クラス」参加後に引き続きクラスの受講を続けたい方には、入会金特別割引がございます。詳しくはお問い合わせください。


定員につき、締め切らせていただきました。また次回に、ぜひご参加ください。

2012.12.17

スペイン料理ひとりごと・その10
Entre cazuelas y morteros
「しつこい」と「あっさり」

11. de diciembre. 2012

料理エッセイ
 「しつこい」と「あっさり」
 実際にスペインにいると、ここの料理はやっぱり濃厚だな、と改めて感じます。同じ量、同じように見える料理を食べても、日本でのそれと比べてずっと満腹感がある。それは油の使い方や塩味のつけ方などによって、微妙に料理の出来上がりが変わってくることの結果なのだろうと思います。
 その最も顕著な例が、世界を代表するレストランとして君臨してきた「エル・ブジ」の料理でしょう。スプーンに一杯だけ出されるのに満足感がある。インパクトがある。というより、ひと匙でちょうど美味しいと感じるように作られた味なのです。そういう料理を20皿も30皿も食べるというのは、あっさりした日本料理の小鉢を20個食べるのとはまったく違う、相当な迫力だということが想像できるでしょう。
 ところが日本人は、基本的に「あっさり」が好き。テレビの食べ歩き番組を見ていると、料理の感想として「あっさりしていて美味しい」という言葉が連発されることからも、それはよく分かります。

「エル・ブジ」の料理。

「エル・ブジ」の料理。

 かく言う私自身も、年とともに「あっさり」に傾きつつある自分の嗜好に気づいています。それはそれで、かまいません。「濃厚」も「あっさり」も、長い民族の歴史のうえに築かれた食文化の嗜好のひとつの形であって、どちらが優れているというものではありませんから。
 でも、自分たちの身に降り掛かっている問題についても「あっさり」忘れたり「あっさり」無視したりしてしまうのは、どうなのでしょうか?
 政治家のやり方に納得できない、今の情勢に不満だと、毎日のように抗議デモを繰り広げ、友達とも家族とも、集まれば必ず現状への不満や批判について「しつこい」くらい議論するスペイン人たち。彼らにこう尋ねられました。
「放射能汚染の問題はどうなっているの? ちゃんと解決していないままなのに、どうして誰ももっと抗議しないの? 汚染で被害を被っている人たちへの補償や援助を、政府はちゃんとしているの? どうして、そのことについてのニュースがどこにも出ないの?・・・」
 私たちも、自分たちの未来を守るために、もう少し「しつこく」なりませんか? 子供たちに少しでもきれいな空と海と大地を残すために、「うるさく」なりませんか?
 私たちの好きな「あっさり」した日本の食事。たとえば貝のお味噌汁も、きのこの炊き込みご飯も、安心して食べられなくなってしまったら。産地を聞き、検疫が済んでいるかどうか確認しないと、お米も買えなくなってしまったら・・・。
 どうすれば、誰を信頼すれば、そんな未来を少しでも防げるのか。皆さんのお知恵を借りて、自分にできることを少しでも探したいと痛感する今日この頃です。

渡辺 万里

2012.12.12
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