スペイン料理ひとりごと・その1
Entre cazuelas y morteros
「これがピスト?」

1 de septiebmre.2011

料理エッセイ
 アカデミーで料理クラスのメニューを考えるときの私のポリシー。それは、「できるだけスペインの味に近いものを食べてもらうこと」です。
 味を知らなくては、その料理は作れない。もとの味を知らなければアレンジもできない。だから、『その料理の味を知ること』が常に料理のスタートだと思います。
 そうはいっても、素材も全部同じというわけにはいかない。水だって気候だって、すべてが味を左右していきます。だから私の基準は、スペイン人が食べて「うん、これは○○だ」とわかる料理であるように、ということ。これがピスト?セロリの煮ものみたいだけど?」「これはパエリャというより釜めしだなあ」とがっかりされないこと。それが、私が料理するときの目標です。

豚足のレリダ風

豚足のレリダ風

 そして一番うれしいのは、スペインの私の家族や友人に褒められること。「うちの嫁のロンバルダ(紫キャベツ)は最高だよ!」「このポタヘ、どうしてこんな味になるのか教えて!」「あんたのアロスコンレッチェも、やっとおいしくなったね!」・・・。
 そんなスペインの親しい人たちの顔を思い浮かべながら、料理をします。今までの長い年月のあいだに、私にさまざまな形で料理を、食を、スペインを教えてくれた彼らに、喜んでもらうこと。それが私の料理の原点、そしてスペインとの関わり合いの原点だと時々自分に言い聞かせながら、料理をしています。

渡辺 万里

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2011.09.03
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